スポーツと、あらゆるモノをインターネットにつなぐ「IOT」を融合したスポーツテックと呼ばれる技術やサービスの開発に、企業が力を入れており、2020年の東京五輪・パラリンピックに向けてスポーツ×IOTの市場拡大が期待される。
野村総合研究所の試算によると、17年度に112億円だったスポーツテックの市場規模は、東京五輪が開催される20年度には549億円、23年度には1775億円になると見込まれているといい、スポーツやITなど関連企業の動きも活発だ。
読売新聞に、IOTを活用したスポーツ関連サービスの例が取り上げられていたので、いくつか紹介したいと思う。
バスケットボール×アシックス・NTTドコモ
3月上旬、アシックスやNTTドコモは、タグを装着した選手が動いた軌跡、消費カロリーなどを表示する機器の実証実験を神戸市西区の体育館で実施した。
データ測定用の電子タグを足元につけたバスケットボール選手が動き出すと、端末に選手の軌跡や消費カロリーなどが表示されるという。
担当者は、「スポーツは指導者の経験や根性論に頼りがちだが、データを見える化すれば効率的にトレーニングでき、上達も早い」と話す。
このシステムは、学校の部活動などでの利用を想定し、商品化を目指す。
野球×ミズノ
ミズノは、野球向け分析システム「MAQ(マキュー)」を開発し、2018年11月に発売予定だ。
「MAQ(マキュー)」は、センサーを内蔵した専用の硬球を投げるとボールの回転数や回転軸、速度などがわかり、高校球児や教育現場の指導者らの関心が高いという。
バレーボール×フェンリル
アプリ開発大手のフェンリルは、動画で選手の動きなどを分析するシステム「VLabo(ブラボー)」を開発。
「VLabo(ブラボー)」は、2016年のリオデジャネイロ五輪でバレーボールの全日本女子代表チームが採用したことでも知られる。
また、導入を検討しているバレーのプロチーム「ヴィクトリーナ姫路」の中谷宏大・コーチ代行は「手軽に練習を振り返ることができ、チーム強化にもつながるはず」と話す。
スポーツ人口の増加にも期待
スポーツテックを活用したデータ分析などで競技力を高めるだけでなく、「初心者らが競技に関心を深めるきっかけになり、スポーツ人口の増加に結びつけば」(大手メーカー)との期待もある。
総務省の2016年の調査では、1年間に何かのスポーツをした15歳以上の人は67・7%で、30年前の1986年から8ポイント以上下がったといい、スマートフォンのゲームなどに時間とお金を使う20〜30歳代の落ち込みが目立った。
野村総研の主任コンサルタントは「スポーツ人口を底上げするには、最先端の技術を体験してもらう場を設けたり、スポーツの魅力を伝えたりする取り組みも必要だろう」と指摘する。
競技者だけがスポーツテックの技術の恩恵を受けるわけではなく、スタジアムでの観戦体験やアプリなどでの視聴など、あらゆるところでテクノロジーは取り入れられており、スポーツを楽しむ幅が広がっていけば、スポーツに興味関心を抱いてくれる人は増えるはずだ。
参照:読売新聞