2018年は日本サッカー界のデータ活用元年になるのか

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マーケター向け専門メディア「MarkeZine(マーケジン)」にて、株式会社データビークルの西内氏とデータスタジアム株式会社の久永氏が、日本サッカーのデータ分析について語った内容が取り上げられていたので紹介したい。

株式会社データビークルの代表である西内氏は、東大医学部を経て医療分野でデータ解析・データ活用を推進。さらに、コンサルタントや実業家とともにJリーグのアドバイザーを務めている。

また、2013年に出版された「統計学が最強の学問である」の著者でもある。

久永氏は、スポーツの分野で多彩なデータ収集を手がけ、メディアへの配信やコンテンツの企画・制作・配信を主力事業としているデータスタジアム株式会社のフットボール事業部に所属。

Jリーグのサンフレッチェ広島に在籍してデータ分析を担当していた経験をもつ。

今回両社は、データスタジアムが収集したJ1リーグ全306試合のデータと、データビークルのデータサイエンス支援ツール「Data Diver」を活用し、「得点につながるプレー内容」を分析したという。

データ活用を導入するハードルを下げる

近年、サッカーに限らず、あらゆるスポーツで選手の能力・戦力アップからチーム運営、試合の集客まで幅広くデータの活用がされるようになった。

しかし、西内氏は現状について次のように指摘している。

日本でもデータの収集や解析がアスリートやチームの意識改革に役立つという認識が少しずつ広まってきています。ただ、選手に高額の年俸を支出する一方で、チームの運営・経営のための予算はどこも厳しく、データ解析および活用が二の次になっているチームがほとんどです

Jリーグのチームに在籍していた久永氏も実情を明かした。

チームのコーチングスタッフとフロントも長く勘や経験を重視してきましたから、『データ』をいきなり見るというのは困難です。そのため、私たちも、収集・解析したデータを実際に導入・活用できるレベルでサポートしていくことが課題になっており、今回の取り組みもその一環です

両社は、こういった現状から、データ活用に詳しくないスタッフでもデータの閲覧しやすいものを目指した。

「1試合約2,000のデータ」×「J1全306試合」を分析

実際の取り組みについては、データスタジアムがJ1の全306試合において取得したものをデータとして活用した。

パスやシュートなど、ボールに触れた時点のデータはすべて取得し、各試合を見ながら、専用のシステムを利用して記録していて、1試合で2,000近くのデータが集まるという。

つまり2000×306試合分のデータを集めたのだ。

そうして集められたデータは、データ分析ツール「Data Diver」にて分析。

チームやサポーターが一番気になるのは得点力なので、「得点」につながるプレーの傾向を探った。

たとえば、「オフサイドが1回増えると得点は0.06低い傾向」「スルーパス成功が1回増えると0.06高い傾向」など、得点に影響を及ぼす行為を具体的な数値で明らかにする。

項目の中には「○○(チーム名)が入っていると得点は高い/低い」のように得点力の高いもしくは低いチームまでもわかってしまうものもある。

驚いたのは、今回の分析によって、これまでの定説を覆すような示唆も多く得られたこと。

これまで、コーナーキックやフリーキックは一般的にはチャンスと捉えられてきたが、分析結果ではどちらも1回増えるごとに得点にマイナスだということがわかったという。

セットプレーが増えれば増えるほど点にはつながらないのだ。

他にも得点の要素を明らかに

他にも様々な点に気づける工夫をしたと久永氏は語る。

ピッチ全体をタテに6つのグリッドで分けてデータを収集することで、試合中、どんな場面、プレー展開、結果になったかが詳細に把握できます。これにより、チームの監督やコーチがまだ気づいていない『得点につながる要素』を明らかにしました

これに対し、西内氏はアタッキングサードと呼ばれる攻撃的エリアでのプレーを例に挙げて話した。

アタッキングサードからのパス成功数が増えると、得点にマイナスの影響を及ぼすが、そこでのパス成功率が上がると得点にプラスの影響を及ぼす。

つまり、同エリアに行ったらパスは成功させなければならないが、成功率を上げようとすると安全なパスを通しがちになり、何本もやっていると得点から遠ざかっていくのだ。

日本サッカーにとってのデータ活用元年になるか

2017年シーズンのJリーグ全試合のデータの解析結果の提供は、既に複数のチームで進み始めているという。

Jリーグ側も導入に積極的で、強豪チームの中には既に積極的にデータ活用を進めようというクラブもいる。他のクラブでも、データ解析を活用する動きが加速しそうだ。

試合中も、これまでは禁止されていたピッチでの電子機器の使用が一部認められるようで、試合のハーフタイム時に限らず前半の試合内容をリアルタイムで分析して次の戦術に活かしていくことも可能である。

2018年は、「データ解析」という新しい視点から日本と世界のサッカーシーンがさらに進化していくシーズンになりそうだ。

「日本サッカー界はデータ分析で強くなる」 変革に取り組む2社が明らかにした、得点につながる要素 :MarkeZine(マーケジン)

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