2018年2月9日〜25日にかけて韓国で行われている平昌オリンピック。日本の選手も活躍して大いに盛り上がっている一方、スポーツだけじゃなく様々なITサービスを体験できるイベントも行われている。
なかでも注目なのが5G体験。
5Gとは超高速の新しい通信ネットワークで、現在使われている4Gに続く新しい規格だ。ほとんど遅延がないこの通信ネットワークは4Gや固定回線よりも速く、大量のデータを送受信することができる。
ドイツが2011年に発表した「インダストリー4.0時代(第4次産業革命)」において、5Gは必要不可欠な基本インフラであり、AI(人工知能)やVR(仮想現実)、AR(拡張現実)、IOT、自動運転の実用化などを進める重要な要素であるともいえる。
そしてこの技術によって、スポーツ観戦も大きく変わるかもしれない。
今回、はじめて5Gネットワークの実証実験をする場となった平昌オリンピックでは、3つの新しい映像手法が行われた。
インタラクティブ・タイムスライス
まず最初に紹介するのは「インタラクティブ・タイムスライス」。
フィギュアスケートやスピードスケートで使われたのだが、競技場に100台のカメラを取り付けて同時に撮影し、その映像を5Gネットワーク経由で送信するというもの。
観戦する人は5Gのタブレットでリアルタイムで受信し、自由に画面の角度を変えて選手を見ることができる。
これまでは試合中継をしているテレビ局のカメラが映す場面をテレビで観戦していたが、どの角度からどのように競技を見るかは、見る人が決められるというのだ。
オムニポイントビュー
2つ目は「オムニポイントビュー」。
これは選手の肩に精密なGPSを装着することで、選手全員の位置情報を取得するというもの。
コースのあちこちにカメラが設置されており、視聴者は5Gタブレットで見たい選手の位置を確認してクリックすることで、その選手の近くにあるカメラの映像が流れる仕組みになっている。
平昌オリンピックではクロスカントリーでオムニポイントビューが試されたそうだ。
何人もの選手がタイムを競う競技では、選手がバラバラになってしまい、どうしても先頭集団がよく映されてしまうが、自分の気になる選手が今どの位置にいるのか確認できるのはありがたい。
シンクビュー
そして3つ目が「シンクビュー」。
選手目線で試合を楽しめる映像手法だ。
たとえばボブスレーでは、ソリに5Gの通信モジュールを搭載した超小型カメラとバッテリーを取り付け、選手目線の映像を5Gで中継した。
これにより迫力のある映像をライブで見ることができる。
なお、今回の体験イベントでは、テスト用の端末としてサムスンの電子タブレットが使用された。
実際に体験しに行くことはできなかったが、5Gは2019年〜2020年頃の商用化が進められており、現段階では色々課題があるものの、2020年の東京オリンピックでこういった最新の映像手法を用いた観戦ができるのを期待したい。