プロ野球の埼玉西武ライオンズは2008年に優勝して以来、10年間優勝できていない。
昨年の2017年は2位になったものの、福岡ソフトバンクホークスが立ちはだかった。
ライオンズはIT戦略室が主導となって、試合中に集めたデータを戦略に生かし、2018年のリーグ優勝を狙っている。
IT戦略室とは、ライオンズが2017年10月に新設した組織で、最新のITを使って様々なデータを計測、分析してチーム力の強化を図るための支援を行っている。
IT戦略の取り組みのひとつとして挙げられているのは、弾道測定器「トラックマン」によるピッチングデータの収集・分析。
トラックマンとは、デンマークの企業トラックマンが開発した機器で、専用のレーダーを使って、投手の手からボールが離れる瞬間の高さや角度、ホームベース上を通過する瞬間の高さ、水平、垂直方向の変化量、球の回転数など、様々なデータを計測することができる。
東北楽天ゴールデンイーグルスは2014年7月に、福岡ソフトバンクホークスは2015年2月にトラックマンを導入済みだが、ライオンズも遅れながら2016年6月に導入し、データを収集してきた。
2018年は、ピッチングデータから相手投手の球質を見極め、打者が攻略するための対策づくりに役立てるとしている。
球質というのはピッチャーによって様々で、ストレートひとつとってみても、回転数やスピードが違うのはもちろんだが、スライダー気味に変化したり、シュート気味に変化したりと、8種類に分類されるといわれている。
つまり同じストレートでも投げる人によって全然違うということだ。
投手のデータ分析をしておくことで、その投手と対戦経験が少ない打者でも、ある程度イメージを持ちながら打席に立つことができるし、大いに効果がありそうである。
データ収集は常にアップデートされ、プロ野球の試合数は年間100試合以上あり、仮に投球数が1試合あたり100球程度とするならば、1万球以上の投手データを分析することになる。
西武ライオンズ球団本部のIT戦略室長である市川徹氏は、「データが100%ではないが、バッティングに有効なデータを収集・分析して、チームの優勝に貢献したい」、「これまで個々の選手が感覚で捉えていた球質を科学的に分類できる」とコメントしている。
打倒ソフトバンク、西武優勝の秘策はITにあり | 日経 xTECH(クロステック)