プロ野球が開幕してから約1週間経とうとしている。
今季からいくつか新しい制度が導入されたのだが、そのうちの一つにリクエスト制度というものがある。
リクエスト制度とは、審判の判断に異議がある場合に、監督が映像によるリプレー検証を要求することができる制度のこと。
詳しい内容については、「今季のプロ野球で新たに導入されるリクエスト制度について」を読んでいただきたいのだが、このリクエスト制度の要求が開幕から相次いで実施された。
巨人対阪神 3月30日
リクエスト制度は開幕戦から行われた。
巨人が2点ビハインドで迎えた二回一死の場面、バッターの長野が放った打球は左翼ポール際へ。
判定はファウルだったが、高橋監督が映像による検証を要求した。
しかし判定は覆らなかった。
ロッテ対楽天 3月30日
一回一死1、2塁から、楽天のウィーラーの打球は一塁ゴロに。ロッテ内野陣はダブルプレーを狙ったのだが、一塁ベースカバーに入った涌井の足がベースを踏んでいないとみなされ、審判の判定はセーフだった。
そこでロッテの井口監督がリクエストを要求。映像検証の結果、判定はアウトに覆り、併殺でチェンジとなった。
また、九回にも同点の右前適時打を放った鈴木が送球間に二塁を狙ったプレーで、井口監督が再びリクエストを要求したが、こちらの判定は覆らなかった。
DeNA対ヤクルト 3月30日・4月1日
3月30日、五回のDeNAの攻撃で一塁でのアウトの判定に、ラミレス監督がリクエストを要求したが判定どおりだった。
4月1日、初回にヤクルト・バレンティンが左中間へ痛烈な当たりを放つと、二塁上でのクロスプレーが微妙な判定に。
セーフの判定が下されるも、セカンドの倉本がアウトをアピールして、ラミレス監督がリクエストを求めた。2分ほどの映像チェックが審判団によって行われ、協議中、オーロラビジョンにも映像が流された。
リクエストの結果、判定はアウトに覆った。
巨人対阪神 4月1日
四回無死一塁の場面、巨人坂本が遊ゴロを処理し、併殺を狙うも、一塁の判定はセーフに。
ベンチもしばらく様子を見ていたが、高橋監督がリクエストを要求した。
オーロラビジョンに映し出された映像を見て、アウトを確信した球場の巨人ファンからは歓声が上がった。
結果は判定が覆り、アウトとなった。
西武対ソフトバンク 4月4日
西武カスティーヨが完全投球をしていたなか迎えた六回1死、上林の一塁ゴロがアウトとなったが、工藤監督がヘッドスライディングした上林の手の方が早いとして、リクエストを要求。
VTR検証の結果、セーフに判定は覆った。
中日対巨人 4月4日
四回二死一、三塁の場面で打席には新外国人オネルキ・ガルシア投手。
打球は三塁へのゴロとなり、一塁クロスプレーはアウトと判定されたが、森監督がリクエストを要求。
リプレー検証の結果、判定が覆り、1点が追加された。
大型ビジョンでもリプレー映像が流され、セーフを確信した中日ファンから大歓声が沸き起こっていた。
また、六回一死二塁の場面、巨人谷岡が二塁へ牽制し、ショート坂本が二塁走者の高橋にタッチ。走者の高橋は坂本の鋭いタッチをかいくぐるように手を伸ばし、ぎりぎりセーフの判定に。
巨人ベンチも坂本に確認したが、坂本も自身では判断が難しく、最終的に高橋監督がリクエストを申請した。
審判団が映像を確認中、場内の大型ビジョンにもリプレー映像が映されたのだが、ホーム側から映されたスローモーションはアウトのように見え、巨人の応援席からはアウトを確信して歓声が上がった。
判定はアウトに覆るかと思われたが、その後、別の角度からの映像では高橋の手が先にベースに触っていたとして、判定は覆らずセーフとなった。
セーフになった高橋はその後、3点目のホームを踏んだ。
今後もリクエストは頻繁にありそう
開幕から一週間足らずで、調べただけでもこれだけのリクエスト要求があった。
判定は覆らなかったケースもあれば、覆ったケースもあり様々だが、たった一つの判定で試合が左右されることもよくわかった。
アウトでチェンジになるのと、セーフになって点が取られるのとでは大きな違いだ。
五回まで完全試合をしていた西武のカスティーヨも、リクエストによって完全試合がなくなった。その後、点は取られなかったものの、制球が乱れてヒットと四球を許した。
リクエスト制度は九回までに2回要求することができ、判定が覆った場合は回数に数えないので、際どいプレーのときは積極的にリクエスト要求しているように思えた。
ただ、リクエスト要求する際、プレーをしている選手のアピールがないと、監督も要求しづらそうであった。
今季はリクエストが頻繁にありそうである。
最後に、球場の大型ビジョンでリプレー映像を流し、アウトかセーフか観客全員で盛り上がれるのはいいと思った。